
隠れ名盤紹介 その1
Oscar Peterson 「Nigerian Marketplace」
記念すべき第一号は、やはりというか、この人。ピーターソンといえば、60年代のトリオが最も有名で人気があるように思いますが、それ以外のものも全く遜色ないです。この作品が録音された81年ですが、MPSでの超絶技巧×超絶技巧みたいな時期を経て、70年代あたりのソロ活動、トランペットとのデュオ活動でさらに表現の幅を広げた、実は脂の乗り切ったタイミングです。
ところがこの時期、なぜかギター(ジョー・パス)を入れたカルテットでの活動が圧倒的に多いのです。ギター参加の是非というより、トリオでの作品が不思議なくらいに少なく、その不満を解消してくれる救世主がこちらのアルバムです。
最近、ベルリンのライブがCD化されましたが、これはかつてDVDで発売されていたものとおそらく同じ音源で、この時期のトリオは、本当に目立ったものはこの位しか見当たりません。最近は、他にも録音が発掘されているかもしれませんが、基本的、とても貴重なトリオです。
ライブ録音作品でして、内容は、60年代には考えられない曲調のタイトル曲、ソロピアノ、十八番のYou Look Good to Me、バラードじゃないのかと突っ込みたくなるNancyまで実に幅広いです。特にタイトル曲は他にも本人の録音がいくつかありますが、その中でも個人的にベストだと思っています。テンポは少し遅めですが、もうこれ以上は無理だろうというほど盛り上がったところから、まさかの更にもう一段放り込んで来ます。ベースはペデルセンですが、ウッドベースとは思えないフレーズを聞かせてくれます。
ペデルセンのベースは、確かにレイブラウンと違って電気的な音がして、ピーターソンとの相性という所で好みが分かれるかもしれませんが、もし聞かず嫌いだとしたら、もったいないことをしている可能性があります。
あと、ドラムはテリークラークです。この時期、レギュラーで活動していた、マーティン・ドリューではないですね。パブロ時代の円熟のピーターソンのピアノトリオ、もし迷われているなら、一度聞いてみることをお勧めします。
1 Nigerian Marketplace
2 Au Privave
3 Medley: Misty/Waltz For Debby
4 Nancy With The Laughing Face
5 Cakewalk
6 You Look Good To Me
Eric Reed & Cyrus Chestnut 「Plenty Swing, Plenty Soul」
次世代(といっても、すっかりベテラン)ピアニストのお二人が、共通のベース、ドラムと繰り広げる、変則ピアノカルテットです。何と言っても曲が親しみやすく、二人がひたすらソロを取ったりトレードしたりという、ピアノ好きにはたまらない作品です。
もちろんどちらも独自のスタイルを持った一流プレイヤーですが、そこまで二人を聞き込んでいなければ、油断しているとどちらが弾いているか分からなくなるかもしれません。私も、そこまで作品を聴いていませんので、怪しいですね。基本的には、バトル要素よりもお互い仲良くやっていますが、たまに相手に触発されているかな?と感じさせる、熱が入ったプレイが聴けることも。
スタンダードだけでなく、お二人が作曲した曲も演奏されていて、ブルースというか、ゴスペルというか、二人のルーツも感じることができます。
演奏形態として似たようなコンセプトの作品にバリーハリスとケニーバロンのライブ録音がありますが、こちらは、相手のソロの時に、もう片方がバッキングをしてしまっており、(生演奏で聞いている時は問題なかったのかもしれませんが)、正直、それがうるさいため減点です。演奏はもちろん素晴らしいですから、そのうち、こちらの作品も取り上げるとしましょう。
こういった、歴史的なジャズジャイアントではない、最近の演奏でも、もちろん良いものはたくさんあるので、しっかり押さえていきたいですね。オーソドックスなジャズが好きだけれども、少し新しいサウンドが入ったものも聞きたい、という方なら気に入る可能性が高いのではないかと思います。
1 I'll Remember April
2 All the Things You Are
3 Two Bass Hit
4 Lift Ev'ry Voice and Sing
5 It Don't Mean a Thing If It Ain't Got That Swing
6 Prayer
7 Plenty Swing, Plenty Soul
Eric Reed & Cyrus Chestnut : pianos
Dezron Douglas : bass
Willie Jones Ⅲ : drums